1. 空調機冷機関連設備販売業の立場からお得な情報をお届け
1-1. エネルギーコスト削減の3領域『調達改善』『運用改善』『設備改善』
はじめまして、株式会社SHOTECと申します。
弊社はこれまで空調機・冷機の関連設備(オプション機材)の専門販売業者として努めて参りましたが、この度これまでの経験を活かし、「経費削減を進めたい」「コストダウンを追求したい」と考える企業や店舗の皆様向けに、省エネなどのお得な情報やコストを抑えた季節性不具合の対策方法などを発信いたします。
初回は省エネ前に確認しておきたい事柄として、「エネルギーコストの削減領域」についてお伝えします。なぜなら省エネはエネルギーコスト削減活動の一環であり、他の活動も知り、時に組み合わせることで、大幅なコスト削減までも可能となるためです。(もちろん省エネは環境保護の側面もあります)
まずはエネルギーコスト削減の3領域『調達改善』『運用改善』『設備改善』それぞれの考え方を確実に抑えます。
『調達改善』とは使用する電力の仕入れ先(電力会社)や契約(プラン)を見直すことです。『運用改善』は電気の使い方について見直すこと、『設備改善』は現設備の性能(≒省エネ性能)を高めることになります。
各領域別にエネルギーコスト削減のアイデアをご紹介しますので、今後の参考とされてください。
2. 電力を安価に調達する!『調達改善』のアイデア2選
2-1. 調達先とプランの見直し
『調達改善』でまず考えることは貴地域に対応する電力会社の調査です。電力小売自由化により、電力の調達先は以前よりかなり増えています。
同時に現在の受電契約に即したプランがあるか、ある場合はどのような料金体系か確認されてください。
受電契約とは『低圧』『高圧』『特別高圧』の三種類になり、業務用電力であれば使用する電力機器の対応電圧と契約電力(標準価格にて使用可能な毎月の総電力量)によっておおよそ決まります。
『低圧』は契約電力が50kw以下で、その中でも単相100Vや単相200Vに対応する機器を使用する場合は『電灯契約』、3相200Vに対応する機器を使用する場合は『動力契約』となります。
(単相100V……一般的な家庭用電力機器)
(単相200V……一部のエアコンや冷蔵庫など)
(3相200V……業務用電力機器)
『電灯契約』『動力契約』はどちらも更に『負荷設備契約』と『主開閉器契約』に分かれます。
『負荷設備契約』では使用する電力機器を申請し、それらを全て同時に稼働させた際の消費電力の合計で契約電力が決まります。こちらは電力の使用量に関わらず電気料金が一定となるため、電力機器を毎日24時間近く使用する場合に適しています。
(業務用の電灯×負荷設備契約は一般家庭で契約する従量電灯と区別するため定額電灯とも呼ばれます)
『主開閉器契約』ではメインブレーカーの容量によって契約電力が決まります。契約電力に応じた基本料金が設定され、電力使用量に応じた従量料金を加算し、毎月の電気料金が決定されます。
通常はこちらが適していますが、ブレーカーの容量を超えて使用するとブレーカーが落ちることに加え(電子ブレーカーは除く)、メインブレーカーを自費で設置しなければならないという欠点があります。
残る『高圧』『特別高圧』はより多くの業務用電力機器を使用したい場合や、特殊な電力機器を使用したい場合に契約します。『高圧』『特別高圧』では高い電圧の状態で届けられた電気を、キュービクルと呼ばれる自家用変圧器にて電圧を下げてた上で使用します。
契約電力が2000kw以下の場合は『高圧』、それより上は『特別高圧』の区分となり、500kw未満は『実量契約』、500kw以上は『協議契約』となります。
『実量契約』ではデマンド(30分ごとの平均消費電力)を測定し、直近12ヶ月間の最大値に基づき契約電力が決まります。『協議契約』はその名の通り協議によって契約電力が決まります。
説明が長くなりましたが、電力会社のプランが細分化されていたとしてもこの『低圧(『電灯契約/動力契約』・『負荷設備契約/主開閉器契約』)/高圧/特別高圧』がベースとなって設定されていますので、まずは現在の契約状況から確認されてください。
これらは変更も可能で、『負荷設備契約』と『主開閉器契約』の切り換えなどは珍しくありません。電力会社提供のプランをよくご確認ください。
{参考:『ビジネスTEPCO|東京電力グループ』}
ただしその際は現在の調達先との契約期間や、契約途中で切り換える場合の違約金がないかご注意ください。
2-2. 自家発電設備の導入
なお『調達改善』には自前で電力を調達する、つまり太陽光発電設備を屋上などに設置し、そこから一部電力を賄う活動も含まれます。(『設備改善』の枠に含まれることもあります)
こちらは償却期間が長くなりやすい施策となりますが、余剰スペースの有効活用になると共に環境面から大きな意義のある活動となるため、状況に応じて検討してください。
3. 電気の使い方を見直す!『運用改善』のアイデア2選
3-1. 電力使用状況の見える化
『運用改善』において最も分かりやすい活動は節電です。最も手軽に着手できる活動でもあるため盛んに呼びかけられていますが、煩わしい割りに効果が分かりにくいため、上手く進まないケースも多々あります。
そこで『見える化』と呼ばれる節電状況の可視化サービスが存在します。これによって節電活動がどれだけの効果(利益)を上げているか一目で分かるようになり、モチベーションの上昇に繋がります。
{参考:『エナッジ|アイ・グリッド・ソリューションズ』}
この『見える化』サービス自体は10年ほど前から存在しており、現在ではAIによる需要予測や次章でご紹介するデマンドコントローラーと組み合わせたものなどが見受けられます。
3-2. 契約電力の引き下げ
次は『主開閉器契約』『実量契約』に限った話ですが、電力使用量に自ら上限を定め、契約電力を引き下げようという活動になります。
『主開閉器契約』の場合はメインブレーカーの容量、『実量契約』の場合は直近12ヶ月間の最大デマンドによって契約電力が決まるとお話ししました。
通常メインブレーカーの容量は(ブレーカーが落ちないように)余裕を持って設定していますが、これが「ブレーカーが落ちそうになると警告が表示される」「僅かな時間であれば容量をオーバーしても許容される」のであれば、容量を引き下げることが出来ます。
またデマンドは季節や時間帯によって大きく上下するものですが、こちらも「あらかじめ定めたデマンドを超えそうになると警告が表示される」「デマンドを超える場合は事前に設定した優先順位に従い機器を停止させる」のであれば、最大デマンドを抑制することが出来ます。
これらを実現するための機材が、『主開閉器契約』の場合は電子ブレーカー、『実量契約』の場合はデマンドコントローラーとなります。
電子ブレーカー・デマンドコントローラーは事前に設定した上限を超えた場合、すぐに電力を遮断せず、警告や一部機器の強制停止を行ないます。
どちらも素晴らしいシステムのように思われますが、あくまで停止によって消費電力の上昇を防ぐという点にご注意ください。
食品を保存する冷凍冷蔵設備や飲食店の空調設備のように、警告を出された所で品質や顧客満足の点から停止できないケースには使用できません。
現在お使いの各電力機器が電力消費の中でどの程度のウェイトを占めているか、一定のウェイトを占める電力機器の中で短時間停止可能なものがあるか、確認が必要です。
4. 電力機器の省エネ性能を高める!『設備改善』のアイデア2選
4-1. 十分な予算があるなら『設備更新』
『設備改善』の分かりやすい例としては古いエアコンを最新型の省エネエアコンに交換するケースになりますが、このように設備の一部、もしくは全部を交換することを『設備更新』と呼びます。
導入コストさえ受容できるのであれば、『設備更新』は省エネ性の高い施策となります。(ただし効果の度合いは機器に拠ります)
空調設備・冷凍冷蔵設備の場合、『設備更新』は設備一式の交換とほぼイコールとして扱われます。この理由は恒常的な故障以外のケース(省エネ性能の向上や季節性不具合の解消)を、機器の交換で対応しようとするためです。
機器の交換となると配管強度の問題から一式の交換となることがほとんどであるため導入コストが思いの外高額となる、更新期間が数日にわたる場合があります。
4-2. 安価に行なうなら『設備改修』
『設備改修』は設備更新の一種ですが、現在の設備をそのまま用いることに重きを置いた表現となります。
具体的にはオプション機材を追加することで、設備の一新ほどのコストを掛けずに省エネ性能を向上させます。
{参考:『空調機・冷機を買い換えるべき場合は?「設備更新」VS「設備改修」-空調機・冷機 耳より話|株式会社SHOTEC』}
この設備改修で用いるオプション機材の代表例は室外機に水を散布する「散水装置」になりますが、省エネ効果が冷房時のみであること、室外機を痛めること、排水の問題から普及は限定的です。
弊社では、「外付け熱交換器」をお勧めしています。
サードパーティ(空調機・冷機メーカー以外が製造したもの)のみとなりますが、ロケーション不問で冷房運転・冷凍冷蔵運転時の消費電力を10%前後、暖房時の消費電力を6~10%削減します。
{参考:『業務用空調機・冷機向け外付け熱交換器BigCon【株式会社SHOTEC】』}
5. まとめ
5-1. エネルギーコスト削減は偏りなく、組み合わせて実施
今回は以上になりますが、エネルギーコスト削減の3領域『調達改善』『運用改善』『設備改善』については、おおよそご理解いただけたでしょうか。
すぐに実行に移すことはなくとも、各領域の活動を理解しておくことは、コスト削減を考える上で大切と考えます。
長くなりましたがご覧いただきありがとうございました。ご不明な点などございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします。