空調機・冷機 耳より話~省エネ・不具合対策~

空調機・冷凍機を買い換えるべき場合は?「設備更新」VS「設備改修」

業務用空調機(エアコン)・冷機向け外付け熱交換器『BigCon』業務用空調機(エアコン)・冷機向け外付け熱交換器『BigCon』
本コラムは業務用空調機(主にパッケージエアコン)、業務用冷凍機・冷蔵機(コンデンシングユニットと呼ばれる室外機が存在するもの)を対象として執筆しております。ビルマルやチラーについても空冷式であれば概ね対象となりますが、ホームエアコンは想定しておりませんのでご了承ください。

1. 設備更新VS設備改修

1-1. 空調機(エアコン)・冷凍機における設備更新と設備改修

 空調機(エアコン)・冷凍機の設備更新は非常に難しい判断を迫られます。
 不具合箇所を抱えているかどうか、何年使用しているか(現機器の性能は十分か)、最新機器との省エネ性能の差などが、設備更新を検討する理由として、意思決定の判断材料として存在します。

 さらに設備更新とは必ずしも機器の入れ替えだけを意味するわけではありません。
 (修理が可能であれば)修理に加え、現在の機器に後付けでオプション機材を追加することにより、現在の課題や不満を解決できるケースも存在します

 これを『設備改修』と呼称し区別した上で、設備更新・設備改修のどちらが、どのような局面で適しているか、比較を行ないます。

1-2. 設備更新・設備改修の検討局面

 空調機や冷凍機の場合、十数年前の機種と最新機種で機能面が大きく変わることは余りありません。
 ですから設備更新・設備改修を検討する状況として、以下の3種類を取り挙げます。


①故障・不具合
②経年劣化
③省エネ投資

 ①故障や不具合はその箇所、内容によって対応が大きく変わってくると考えます。
 状況によっては深く検討している間もないかもしれませんが、参考とされてください。

 ②経年劣化もその箇所によって対応が変わって来ます。
 現機器を長く使用したくてもそうもいかない場合があります。

 ③省エネ投資は現機器に不満は無いものの、最新機種の省エネ性能(現機器との差)に魅力を感じているケースが該当します。
 積極的にお勧めするケースは限定的ですが、最終的には投資額との兼ね合いになります。

 次章からはこの3つの状況について、詳しくお話しします。

2. ①故障・不具合

2-1. 圧縮機の故障は設備更新

 空調機・冷凍機は室内機と室外機があり、両者の間に配管が接続されており、その内部は冷媒が循環しています。
 そして室内機と室外機の内部は様々な機材・部品が使用されています。

 本章では室内機内または室外機内のいずれかの機材・部品が(経年劣化以外で)故障した場合の対処を考えます。

 最も壊れて欲しくない部品は、室外機の内部にある圧縮機です。(一部冷凍機は分離され単独で設置されます)
 圧縮機は非常に高価で、こちらを交換するなら機器全体を新調することを選びがちです。

 圧縮機は定期的にメンテナンスを行なっていれば、少なくとも15年程度は持つと考えます
 もちろんメンテナンスをしなかったとしても壊れない未来も存在するかもしれませんが、ゴミを取り込んでしまったり、後述する高圧カットのような異常停止を繰り返していると、数年で突然壊れることもあります。

 法定点検だけを行なっている現場が珍しくありませんが、年に1度はメンテナンスをお勧めします。
{参考:『空調・換気設備|株式会社エスディ・メンテナンス』

 なお圧縮機以外の故障、例えばセンサーなどは交換ですぐに復旧できますので、継続して現機器をご使用されることをお勧めします。

2-2. 季節性トラブルは設備改修

 季節性トラブルとは、高圧カット(高圧圧力異常)、霜取り運転のような、「故障ではないが活動に支障を来たす不具合」を指します。
 これらは故障でも経年劣化でもありませんので、修理や部品交換で解決できません

高圧カット→夏期、特に外気温が高い際に異常停止を起こす
霜取り運転→冬期、特に外気温が低い際に断続的に霜取り運転に入る

 高圧カットの場合、猛暑は大きな要因の一つですが、猛暑だから発生するわけではありません。
{参考:『夏場は要注意!空調機(エアコン)・冷機の高圧カット対策4選-空調機・冷機 耳より話|株式会社SHOTEC』

 高圧カット対策の設備改修例としては、散水装置外付け熱交換器があります。
 散水装置は有名で導入コストも安価です。逆に外付け熱交換器は水や電気を使用しないため、どのような現場でも導入が可能で、運用コストがゼロとなります。
{参考:『空調機(エアコン)室外機を冷やすなら?「散水装置」VS「外付け熱交換器」-空調機・冷機 耳より話|株式会社SHOTEC』


 霜取り運転はそれ自体がトラブルではありませんが、断続的に続く場合は解決を図らねばなりません。
 寒冷地エアコンは有効な手段ですが非常に高額となるため、他の手段も検討してください。
{参考:『冬場の定番トラブル!空調機(エアコン)の霜取り運転を防ぐ方法6選-空調機・冷機 耳より話|株式会社SHOTEC』

 霜取り運転対策の設備改修は、外付け熱交換器のみとなります。
 寒冷地エアコンよりはかなり安価ですが、冷媒の余熱を使用する関係で軽度の霜取り運転のみ有効に働くためご注意ください。


 外付け熱交換器の詳細は「BigCon」の紹介ページをご覧ください。
 {参考:『業務用空調機・冷機向け外付け熱交換器「BigCon」|株式会社SHOTEC』

3. ②経年劣化

3-1. 冷媒配管の劣化は設備更新

 経年劣化で最も心配な箇所は冷媒配管と考えます。
 冷媒配管は丈夫なものを使用しますが、機器の運転中は冷媒に圧力が掛けられており、それが配管内を通過するため運転中は配管に常に負荷が掛かります。(真夏や真冬はより強い負荷が掛かります)

 もし配管が劣化し、亀裂が入り、冷媒漏れを起こしてしまうと、正常な運転は出来ませんし、修理費用もそれなりに掛かります。
 そして修理をしたとしても、いつ他の箇所で冷媒漏れを起こすか分かりません

 こうなった際は原則一式取り替えることになります。(機器も取り替えます)

3-2. 圧縮機の劣化ははどちらも選択肢

 冷えが悪くなった、暖まりが悪くなったというケースは経年劣化以外の原因も複数考えられますが、ここでは経年劣化が原因として話を進めます。
{参考:『空調機(エアコン)・冷凍機が冷えない原因6選とその対策-空調機・冷機 耳より話|株式会社SHOTEC』

 例えば圧縮機の劣化により冷媒に強い圧力が掛けられなくなった場合、それが求められる真夏や真冬ではこれまで通りのパフォーマンスを発揮できなくなります。
 (熱交換器はクリーニングこそ必要ですが10年程度で劣化はしません)

 この場合故障の際と同様に、設備更新によって機器自体を取り替えることが通常の選択肢です。
 ただし恐らくこのケース(長期使用)では配管一式も交換になると思われます。今は問題を起こしていなくても、配管も必ず傷んでいるためです。

 ですから冷凍機冷房時のみお困りであれば、設備改修によって冷媒への圧力を抑えることも選択肢となります
 散水装置外付け熱交換器によって冷媒の冷却を進めることで、冷媒への圧力の上昇を抑制できるためです。
 (暖房時は効果がありません)

3-3. R22冷媒採用機は設備更新だが慌てず

 なおR22冷媒採用機について触れておくと、冷媒漏れに注意していれば、殊更設備更新を急ぐ必要は無いと考えます。

 R22冷媒の世間の印象は悪く、設備更新を勧められることもあるかと思いますが、R22冷媒自体は大気中への放出さえ避ければ優秀な冷媒です。(低圧で動く)
 ですからそれだけを理由に設備更新に踏み切る必要はないと考えます。
{参考:『R22冷媒|美浜株式会社』

4. ③省エネ投資

4-1. ノンインバーターの空調機であれば設備更新

 昨今の電力料金高騰などから、「最新機種に乗り換えるとこんなにお得です」「補助金の活用を含めてN年で回収できます」などの提案が盛んに行なわれています。

 確かに(空調機の)省エネ性能の進化には目を見張るものがありますが、基本的に少ない運転でいかに室内を冷やす(暖める)かに注力した省エネとなります
 例えば運転を抑える代わりに風のコントロールなどで、体感的に同等の環境を提供しようとします。(風を送り出すファンは冷暖房に比べるとほとんど電力を消費しません)

 歓迎すべきもののようにも感じますが、実際に導入してみるととても数字通りの省エネにはならない(虚偽ではなくその数値を達成するための設定では仕事にならない)ことも十分あります。


 空調機は以前よりインバーター機が主流となっており、インバーター機能によって機器は必要の無いとき十分運転を休んでいます。
 つまり既にかなりエコですので、ここから20%や30%も省エネ性能が上がることはなく、実際の投資額との兼ね合いで判断することになると考えます。

 逆にいえばまだノンインバーター機(一定速機)をご使用の場合は、設備更新も十分俎上に上がると考えます。

 冷凍機の場合、設定温度が空調機よりずっと低いため、省エネ性能を大きく伸ばす余地が余りありません。
 現機器を長く使用することが経済的となります。

4-2. さらなる省エネ追求なら設備改修

 それでも更に、ということであれば、外付け熱交換器による設備改修をお勧めします。
 夏期と冬期で大きく差がありますが、現在よりも平均+10%の省エネを通年で実現します。

消費電力削減例

 こちらの投資回収期間は、稼働率年間使用時間に大きな影響を受けます
 年中フル稼働であれば、2.5年での回収も可能です。

 こちらに該当するケースとしては、工場やデータセンターなどの設備空調店舗や物流倉庫などの冷凍機が該当します。
{参考:『業務用空調機・冷機向け外付け熱交換器「BigCon」|株式会社SHOTEC』

5. 設備更新VS設備改修まとめ

5-1. リースと補助金

 最後に設備更新と密接に関連する『リース』と『補助金』『リプレース』について触れておきます。

 最近は空調機のリースも珍しくなくなりました。
 初期費用を大きく抑えられる点が魅力ですが、契約期間が4~7年と長く、中途解約時は多額の解約料を支払わなければなりません。

 現在の機器を数年後も使用し続けるつもりであっても、変化の激しい現代においてそれが間違いないかと自問すると不安になると考えます。

 またリースの方が総額では高額になるため、初期費用を抑えたい場合は分割での購入をお勧めいたします
 購入であれば売却や設備改修も可能です。


 補助金もやや似ている点を持ち、補助金が受給された設備を耐用年数内に破却、売却することはできません。(正当な理由が無い限り)

 加えて申請の煩雑さや申請期間などの問題も挙げられますが、こちらは代行サービスもありますので、可能であれば活用をお勧めします。

5-2. 空調機のリプレース

 そして近年の流行りのもう一つが空調機のリプレースになります。
 空調機や冷機を一新する際は通常冷媒配管や配線を全交換しますが、これを引き継ぐサービスとなります。
 工事費がかなり抑えられるため、リプレースであれば……とお考えの担当者様も少なくないのではないでしょうか。

 ただしリプレースは無条件で行えるわけではありません。
 これまでお話ししてきたように冷媒配管には圧力が掛かってきており、必ず劣化しています。

 「これだけ長く使用してきた配管は使い回せません」となることが普通ですし、「この冷媒配管は耐圧面で無理です」となることもあります。(古い冷媒は現在よりも低圧で動いていたためそれに合わせて配管の耐久力も現在より低い場合があります)

 また空調機や冷機はオイルを使用しますが、このオイルがメーカーによって異なるため、「同じメーカーの製品ではないのでリプレースできません」となることもあります。
 (本来洗浄すれば使用できないこともないのですが、あくまで同一メーカーでの買替え需要を喚起するためのリプレースですので)

5-3. 設備更新をお勧めするケース

 設備更新をお勧めするケースは以下の3点となります。

・圧縮機の故障、経年劣化
・冷媒配管からの冷媒漏れ
・省エネ(ノンインバーター機など)

5-4. 設備改修をお勧めするケース

 設備改修をお勧めするケースは以下の3点となります。

・季節性トラブル
・圧縮機の経年劣化
・省エネ(長時間使用)



 長くなりましたがご覧いただきありがとうございました。ご不明な点などございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡をお願いいたします

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